人工関節で障害年金の申請をお考えの方へ

障害年金とは?

「障害年金」は、一般的に20歳~64歳の方が対象となる国が支給する年金制度です。

この制度は病気や事故の結果、障害を負った方々に支給されます。具体的には、65歳以前に初診日があり、日常生活や仕事に支障がある方々に対して支給されます。

ここでは、人工関節置換術で障害年金の申請をお考えの方に向けて、申請のポイントについて解説します。

人工関節で障害年金を受給するためのポイント

初診日

障害年金を受給するためには、まずは初診日を確定させる必要があります。

初診日とは、病気やケガにより初めて医師や歯科医師に診察を受けた日を指し、この初診日に加入していた年金制度に応じて、障害基礎年金または障害厚生年金の種類が決まります。

人工関節・人工骨頭の置換術を受けた方は、通常この事実のみで障害等級3級に無条件に該当します。

ただし、受給するには初診日に厚生年金保険に加入していることが必要です。初診日に国民年金に加入していた方は一般的に受給できません

保険料納付要件

初診日が確定出来たら、その前日時点で保険料を納めていたかの保険料納付要件を確認します。障害年金を受給するためには直近1年間未納がない等の条件があります。

障害認定日

障害認定日とは簡単に言うと障害年金を請求できるようになる日です。

原則として障害認定日は、初診日から起算して1年6カ月を経過した日です。この1年6カ月というのは、障害状態が引き続いてあり、症状が固定するのを待つ期間です。初診日より1年6カ月経過後に人工関節を置換した場合はいわゆる事後重症請求となります。

ただし障害の状態によっては1年6カ月経過より早く到来するものがあります、それがこの人工関節の場合で、初診日から1年6カ月以内に置換術を受けた日があればその日を障害認定日とすることができます。

受診状況等証明書

受診状況証明書は初診日を証明する書類です。初診の医療機関と診断書を作成する医療機関が異なる場合には「初診日証明」として初診の医療機関に書いてもらう必要があります。

診断書・更新

保険料納付要件が満たしておりかつ初診日が証明する書類が準備できたら、医師に診断書を書いてもらいます。

ただし、遡及請求で障害認定日の請求をする場合に、裁定請求日から障害認定日が既に1年以上経過している場合通常は診断書が2枚必要なのですが、人工関節での申請の場合の診断書は1枚だけで遡及請求の申請が可能です。

また、更新もなく原則永久認定となります。

特例で受給できる可能性のある方

もうひとつ、ご注意いただきたい点があります。初診日に国民年金に加入されていた方は、原則として認定されないことが多いですが、以下の条件を満たしていれば、認定される可能性があります。

  • 状態が悪化した場合

人工関節や人工骨頭の装着後に状態がさらに悪化した場合です。一下肢の場合、完全に使用できなくなった状態など、両下肢の場合には機能に相当程度の障害が残る状態です。これらの条件を満たした場合、障害基礎年金2級として認定される可能性があります。

  • 社会的治癒が認められた場合

例えば幼少期に発病し医療機関を受診、その後5年以上受診せず日常生活や社会生活に何ら支障なく過ごしたが、成人になり痛みを感じて再び受診し治療を再開した。

この時、厚生年金保険に加入しており、その後状態が悪化し人工関節置換術を受けた。この場合、再発した日を初診日として、障害厚生年金で請求することができます。

初診日の取り扱いを「社会的治癒」と呼びますが、必ずしも認められるわけではありません。ただし、障害厚生年金3級として認定される可能性があります。

人工関節で障害年金はいくらもらえるの?

人工関節を置換している場合、原則3級となり、支給額は報酬比例の年金額となります。

報酬比例部分の計算式を簡単に言いますと、「障害認定日の月までの給料の平均値に一定の乗率を掛けたもの×厚生年金加入月数(300月未満は300月とする)」です。

また、最低保証額というものがあり、障害厚生年金3級の場合は596,300円です。

人工関節の認定基準

下肢(脚)の認定基準は、片脚の3大関節(股関節、膝、足首)のうち1関節以上に人工関節・人工骨頭を置換した場合や、両脚の3大関節のうち1関節以上にそれぞれ人工関節・人工関節を置換した場合は原則3級に認定されます。

 障害年金の専門家に依頼するメリット

専門家に依頼することで、障害年金の申請を効率的に進めることができるだけでなく、申請の成功率を高めることもできます。自分の権利をしっかりと守るために、専門家のサポートを活用することをおすすめします。

当事務所では、障害年金の申請手続きをスムーズに進めるために、経験豊富な専門家がサポートいたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。